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朝融王 その2

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倉富日記 大正13年02月15日

松平慶民
昨日宮内大臣久邇宮家に行き、邦彦王に謁し、朝融王婚約解除の不可なる事を説きたるに、
邦彦王はこれに対し種々弁明せられたるが、しどろもどろにて少しも筋の立ちたる事は無かりし由。
邦彦王より「かの如き疑いある婦人を嫡男の妃と為しては先祖に対しても済まず」と言われ、
宮内大臣は「不理なる事を為されては皇室に累を及ぼす事にて、皇室と一個の宮とは比較にならぬ事なり」とまで申し上げたりとの事なり。
邦彦王より「何とか解除のできる様に取り計いくれよ」と宮内大臣に依頼せられたるも、宮内大臣はこれを引き受けざりし趣なり。
倉富◆宮内大臣が左の如く切り出したる以上はこれを貫徹する覚悟なかるべからず。
邦彦王がどこまでも承知せられざる時は実に困りたる事になるべし。しかしここに至りたる上は、宮内大臣より婚約解除の工夫につき相談する時は格別、それまでは宗秩寮にても手を出さざる方よろしからん。
松平◆宮内大臣は前田清子夫人が低層問題を金子に話したるよりこの面倒を起したる事につき、
清子夫人をして速やかにその言を取り消さしむる必要ありと言いおれども、清子夫人は「伝聞したるゆえ伝聞したりと言いたるまでにて、別に自己の意見を加えたるにあらず。これを取り消すべき理由なし」と言うならんと思わる。

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倉富日記 大正13年02月19日

小原駩吉
仙石政敬より「閑院宮載仁親王が婚約解除に反対せらるるは三条家の関係もあり当然なり」と言えり。
よりて三条家の関係を問いたるに、三条家より酒井家に嫁しおると言えり。
倉富◆しからば菊子の母夏子は三条家より嫁したる者ならん。
小原◆しからん。宮内大臣はその関係を知らずして載仁親王に申し上げたるものならん。
倉富◆徳川は宮内大臣より厳しく邦彦王に申し上げたる様に言いおる趣なるも、当てにならず。
徳川が欺かれおる事なるべく、予はこの事の結局はやはり婚約解除の事となるべし。
小原◆必ず解除の事となるべし。

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倉富日記 大正13年02月22日

小原◆野村礼譲の談によれば「何となく菊子を嫌という気が起り、その後解約の口実を求むるため種々の事を探し出したるものにて、節操云々の風評あるため菊子を嫌う様になりたるものにあらず」との事なり。

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倉富日記 大正13年03月06日

酒巻◆宮内大臣はこの問題の紛糾を為したる原因は菊子に節操の疑ありという風説なり。
この風説さえ消滅すれば問題は消滅する訳につき、その取り調べを為す必要ありとて、その風説の出所は前田清子夫人が金子に告げ、金子より分部に告げたるものとのことにつき、まず清子夫人に左の如き事を言いたる事ありやを確かめたるところ、清子婦人は「決して左の如き事を言いたる事なし」と言い、さらに金子に確かめたるところ、金子は「清子夫人が言いたる事なしと言うならば、自分の聞き間違いならん」と言いたる趣なり。只今はこれだけの事になりおれり。邦彦王は「事実の有無に関わらず、その疑いだけでこれを遂行する事を好まず」と言いおられ、既に邦彦王より婚約解除の事を依頼する事につき宮内大臣に書状を送られたりとの事なり。しかれば宮内大臣の考えの如く、清子夫人が言わずと言いたりとて婚約の遂行できるものにあらず。
倉富◆実は結婚を嫌うという事が先に起り、その口実として節操云々の話が生じたる様なり。
さすれば到底これを遂行する事は無益ならん。
松平◆しかるに酒井家の方にては、「この婚約はこちらより求めたるものにあらず。宮の方から求めたるものにつき、こちらより辞するべきものにあらず」と言いおるとの事なり。
しかし宮の方より解約を申し込まるれば、酒井にてはこれに応ぜざる様の事はなからん。
しかれども、皇族として故なく婚約を破る如きワガママを為さしむべきものにあらず。
遂行が出来ずとすれば朝融王は臣籍に降下するより他に方法なし。

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倉富日記 大正13年03月10日

徳川◆先日宮内大臣の代理として久邇宮家に行きたり。
邦彦王に謁する前国分三亥に会いたるところ、国分より「婚約解除については菊子の節操問題は一切これを止め、その疑いありと言われたる事も取り消し、この事は一切話に上らざりし事となす方よろしかるべき旨邦彦王に申し上げおきたり」との話を為せり。
その後邦彦王に謁したるところ、王殿下より「節操云々の事は一切水に流し、これまで話なき事に為しくれよ。しかして朝融王と菊子との結婚は到底円満の結果を得がたかるべしと思う。この如き事になりたるは遺憾なれども、今日にては自分には好工夫なし。宮内大臣・宮内次官・宗秩寮総裁に依頼するにつき、取り計いを頼む」と言われたる。

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倉富日記 大正13年03月13日

国分三亥
先年良子女王の御婚約の事につき云々ありたる時より久邇宮家に出入しおる牧野某は此節も度々来りて謀議に参しおるにつき、自分より「故杉浦重剛は良子女王問題のとき信義論を唱えたりとの事なるが、朝融王の婚約問題を聞きたらば如何言うべきや」と言いたるに、牧野某は「杉浦は疾くこの問題は承知しおり、解約に賛成しおれり。問題が先年の分とは異なりおれり」と言いおりたり。

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倉富日記 大正13年03月25日

国分三亥
宮内大臣は断然宮内省としては婚約解除につき御助力する事は出来ざる旨を答えたるをもって、
その旨を告げたるところ邦彦王は非常に憤慨し「とうてい婚約を遂行する事は出来ず。宮内省が助力せざるならば、直接に処置すべし」と言わるるにつき、宮内大臣にその旨を談したるところ、大臣は「如何なる手段を取るや」と言うにつき、自分より「どこまでも酒井家に謝し、酒井家より手を引く事を求め、それが成就すればこの上もなし。もしこれを諾せざるならば宮より婚約を解きたき旨を申し入れ、酒井家にてこれを諾すれば合意にて解約したる旨の届け出を為し、これをもって終局と為すべし。まさか酒井家にてもその事も諾せざる事はなからんと思う」旨を述べたるところ、宮内大臣は「もしその手段を取るにしても手続が肝要なり。少しく猶予すべし」と言われたり。
倉富◆人民の儀表たるべき皇族が故なく婚約を破るは許すべからずとの論あるをもって困る。
国分◆仮に自分らの事としても解約を希望す。
倉富◆何故なりや。
国分◆節操の風説ある故なり。
倉富◆それは無理なり。こちらを満足するため先方を殺す訳なり。事実確かならずしてこれを理由とする事は
無理なり。
国分◆しかし誰しも結婚は欲せざるならん。

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倉富日記 大正13年03月27日

徳川◆自分は「宮内大臣は既に久邇宮家に対し強硬の態度を取られおるにつき、この上なお一層強硬の態度を取り、臣籍降下のことまで考えしむるくらいになされたし」旨を宮内大臣に説きたるところ、宮内大臣も同意にて「とにかく少し久邇宮を反省せしむる必要あり」と言い、今日国分に対し大臣より「この問題については宮家においても今しばらく手を着けざる様に申し聞けられたる所なり。

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倉富日記 大正13年06月09日

小原駩吉
一つ困りおる事あり。極めて秘密なる事なるが、賀陽宮家の侍女数人ある内一人に対し朝融王が戯れたる事あり。その時その侍女は手をもって朝融王の頬を打ちたる由なり。しかるに他の一人に対して接吻せられたるところ、その方は拒ます、その後賀陽宮好子妃より問われたるところその侍女は「嬉しかりし」と答えたりとの事なり。間もなくその侍女が暇を乞うて帰りたるゆえひとまず安心せり。

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倉富日記 大正13年07月15日

宮内官僚白根松介
朝融王の事は如何なりたるべきや。
倉富◆詳細は知らざるも徳川が引き受け、自分では正面に立たず懇意なる某華族が交渉し、酒井家の方より辞退せしむる事になりおるとの事なり。談は順調に進むとの事なりしが、順調に進むならばもはや今頃は結了しおるはずなるもいまだ結了に至らず。邦彦王はしきりに解決を望みおらるる様に国分より聞きおれり。
白根◆それはよほど無理なる様なり。
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by oMUGIo | 2001-12-22 00:00 | 皇族
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